読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

未来の金融をデザインする

主に経済や金融に関する記事や開催した読書会や勉強会の報告を書いております。

【開催報告2017年4月30日(日)原因と結果の経済学】

2017年のGWの真っ只中に「原因と結果の経済学」(以下、本書)の読書会を開催しました。本書は、著者の一人が「学力の経済学」の著者である中室先生であり、「教育の経済学」と同様に世間で誤認されがちな事象を因果推論の視点から解き明かす内容となっています。 

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

 
「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 本書における因果推論の例としては「メタボ健診を受けていれば長生きするのか」「テレビを見せると子供学力は低下するのか」「偏差値の高い大学へ行けば収入が上がるのか」等が取り上げられております。これらの関係については学術的な研究では全て因果関係は「ない」ことが実証されています。

また本書で解説されている手法としては、「ランダム化比較試験」、「自然実験」、「差の差分析」、「操作変数法」、「回帰不連続実験」、「マッチング法」等が挙げられます。これらは全て計量経済学(特にパネルデータ等を用いてミクロ計量経済学)でよく使われる手法であり、計量経済学の教科書を一から読んだ場合には、これらの手法にたどり着くまでに相応の時間を要するもの(学部上級〜大学院レベル)ですが、本書では難しい数式を全く使わずにエッセンスがわかりやすく解説されています。

計量経済学を使って実証分析をしている人からすれば本書の内容はそれ程目新しいものではないかもしれませんが、計量経済学統計学に馴染みがない人にとっては統計のプロや経済学者がどういったデータをつかってどういった分析をしているのかを手軽に知られる本となっています。また因果推論について体系的にまとめられていることから、実際に実証分析をしている人にとってもミクロ計量経済学の学習内容の全体像を把握するのに良い機会になるかと思います。

読書会当日は慶応義塾大学の博士課程で統計学を専攻している中村知繁さんをお招きし、因果推論についてプレゼンをしていただきました。FED事務局(の中の人)は中村さんとは5年ぐらい前に知り合いましたが、当時中村さんは統計学を専攻したばかりの大学3年生で、どちらかというと関心はデザインシンキング等の右脳的なところにあったように当時は思っていました。ですが、今回の因果推論のプレゼンを見て改めて「理系な人なんだ」と実感しました。また統計を専攻しているものの、経済は専門ではないことから、計量経済学を学んだ人よりも統計的な視点はより厳密だとプレゼンを聞きながら感じました(中村さんの論文としては「野球の犠牲バントは得点に結びつくのか」を統計的に解析したもの等があります。)。他方、中村さんからすると「経済の人は理工系の統計の人達があまり使わないような変わった手法を使うな」という感じもあったようです。

中村さんのお話で印象的だったのは「データを持っている企業がデータだけを持ってきて『データがあるのでなんか分析してください』という話が結構多い」というものでした。もちろん生のデータを分析して、使えるデータに仕上げるのが統計のプロの仕事ではありますが、依頼側に「どういった目的」で「どういった分析をしたいのか」等の目的意識がないと統計のプロも何も出来ないようです。

例えば本書で因果推論を行う上で最も重要な手法として「ランダム化比較試験」の解説がされていますが、「ランダム化比較試験」を行うには、事前のサンプルの取り方やグルーピングの仕方、処置グループをどのように設計するかがとても重要になってきます。そのため、統計のプロに依頼をする場合、依頼者は「どう言った仮説を想定しているのか」、「説明変数としては何が適切なのか」を統計のプロに説明する必要があります。よって、ビジネスや政策で統計を使うにあたっては統計のプロと依頼者が適切にコミュニケーションをする必要が出てくるので、依頼者側にも相応の統計に関する知識が求められると言えます。

例えば、本書と同様の範囲でデータ分析について解説がなされている「データ分析の力」(下記リンクご参照)という本では、電力価格フィールド実験として北九州市で行われた「電力価格の値上げが電力需要にどれだけの影響があるのか」についての実証分析の解説がなされています。

 

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)

 

この実験は、同書の著者である伊藤先生ら経済学者、経済産業省北九州市、新エネルギー導入促進協議会、新日鉄住金富士電機等の産学官連合の共同事業で実現したものです。この実証分析では、電力価格の需要に影響する変数として「部屋数、占有面積、エアコン数、テレビ数、世帯数、世帯主の平均年齢、所得階層」等が使われています。経済学者はこれらの変数をコントールして、ランダム化比較試験を行うことになりますが、おそらくこういったデータ(電力需要に影響を与える変数)の必要性は経済学者が指摘したのではなく、電力事業に関わっている人達の知見から選ばれたものと思われます。すなわち、上記の実証分析を行ったのは経済学者ではありますが、電力に影響のあるデータ等の提供は共同事業者によって行われることとなります。この話は中村さんがおっしゃった「データがあるんでなんか分析してください」とは対照的で、事前にどういった仮説でどういった分析を行うべきかが共同事業者によって、緻密に分析されていると言えます。

当日の参加者からは「ビジネスでも(将来的には)ビックデータや統計を扱いたい」といった声が非常に多かったですが、実際にビジネスで大量のデータを扱う際に、統計の解析を行うのは統計のプロだとしても、解析が行われる前段階における事前準備、料理でいうところの下処理はビジネスや政策の現場の人が行うことが必要となります。必要なデータの下処理を行うとともに、統計のプロから追加で必要と言われるデータを準備することで初めてデータを使った効果的な分析ができるようになります。このように統計のプロとビジネスや政策の現場の人が協働を行うには、現場の人達にも「統計を使って何ができて、何ができないのか」を知ることがとても重要になってきます。本書はこのことを知る入り口として、まずは因果関係と相関関係の違いを理解するとともに、因果推論にはどのような手法があるのかを知るのに非常に有益な内容となっております。また、本書を読んでデータ分析に興味を持たれた方は、併せて伊藤先生の「データ分析の力」も読むことをお勧めします。

これまでもFEDでは因果推論が使われている本を結構扱ってきました(例えば「貧乏人の経済学」、「0ベース思考」、「学力の経済学」「徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃」等)が、その背後にある因果推論のロジックを学ぶことは、今後データ分析が行なわれている本を読むにあたっての生産性を上げるために、とても肝要だと思われます。

最後になりましたが、ご出席された皆様並びにプレゼンをしてくださった中村さんに改めて御礼申し上げます。FEDでは今後も計量経済学の分析がされた本を扱っていくことになろうかと思いますが、本書は計量経済学の分析がされている本を読むにあたっての基礎知識を提供してくださるとても良い本であることを皆様との議論を通じて再認識した次第です。

f:id:fedjapan:20170505180009j:plainf:id:fedjapan:20170430132047j:plain

f:id:fedjapan:20170430155051j:plain

 

 

一万円と二万円のどちらが欲しいですか

f:id:fedjapan:20141112135817j:plain「1万円と2万円のどちらかをもらえる場合、どちらを選びますか」
このような質問をされた時、ほとんどの人が2万円を選択するものと思います。答えるまでもない質問でしょう。では、次の質問はどうでしょうか。

「今すぐ1万円をもらえるのと5年後に2万円をもらえるのはどちら選びますか。」この質問になるととたんに判断は難しくなります。人によっては今すぐ1万円を欲しい人がいるかもしれませんし、運用利回りの観点から5年後の2万円を選ぶ人もいらっしゃるかもしれません。

このように「AとBのどちらがいいか」という質問と「今のAと将来のBのどちらがいいか」という質問は本質的に別のものとなります。日常において似たような例に我々は多く直面します。学生ならば夏休みの宿題を夏休みが始まった直後にすぐ始めるのか、もしくはギリギリまで先延ばしをしてしまうのか等がありますし、社会人においては頼まれた仕事をすぐするのか、今日はせずに別のことをやるのか等があげられます。

宿題にしろ、仕事にしろ、最終的には取り組むということ自体は同じのですが(宿題や頼まれた仕事をしないという意思決定ももちろんありえますが、そのことは捨象します)、先にやるのか後でやるのかで精神的な負担の感じ方も代わってきますし、実際の行動の時間差が別の行動や意思決定にも影響がする可能性もあります。

このような時間の選択(異時点間選択)において、どれだけ「現在を重視しているのか」ということは、経済学では時間割引率という概念で表されます。現在をより重視している場合は、時間割引率が高いということになります。

そして、行動経済学は「時間割引率は従来の経済学で想定されていたものよりも高い(人は現在を重視しがちである)」ということを実験で示しまた。すなわち、人は現在を重視しがちということです。例えば、ダイエットをしなければならないがいまケーキを食べたい、そろそろ勉強をしなければならないが今見ているテレビが面白いのでそのままテレビを見たい、夏休みの宿題をやらなければならないが今は遊びたいので先延ばしにする、そして5年待てば倍の2万円がもらえるものの今の1万円が欲しいというようにです。このような意思決定が現在にバイアスをかかってしまうようなことを説明する概念が「双曲割引」と言われています*1

行動経済学が示した重要なメッセージは「人は現在を重視する傾向にある」こと、そして「現在を重視するがゆえに、合理的に説明がつかないような行動をすることがある」ということです。個人単位ではダイエットや勉強、仕事といった話になりますが、これを国単位や企業単位で見た場合、将来に後回しをするのではなく、今すべきことが、現在の惰性を重視することで先延ばしされる可能性があるということです。国で言えば、消費増税、企業で言えば組織改革等がそれに当たります。

「我々は現在を重視しがちである」といったことを踏まえた上で、現在を重視するがゆえに陥ってしまう先延ばしの罠に対して、どう対応すべきかを考えることが我々にとって重要です。そして、その対応の一助となるのがまさに経済学だと考えます。

*1:将来の価値を割り引くという考え方自体は昔から経済学でもあります。例えば将来の1万円を現在に割り引くと9,000円になるといったような現在価値の議論がまさにこれです。伝統的な経済学においても異時点間の選択の問題はよく出くわします(動学モデルなんてまさに異時点間をどう考えるのかそのものです)。例えば、消費をするのか、貯蓄をするのか(貯蓄に回して将来消費をする)といった消費の理論は、マクロ経済学において最もオーソドックスかつ重要な論点の一つです。

なぜ優秀な人から先に会社を辞めるのか 後編


前回はラジアの賃金モデルを使って、若年層は生産性よりも低い賃金となる一方で高齢期には生産性よりも高い賃金がもらえるという年功序列の仕組みについて説明を行いました。今回はこの年功序列の仕組みが結果的には「優秀な人ほど先に会社を辞める」現象を生み出している可能性があることについて書きます。

終身雇用と年功序列が機能した背景

そもそも終身雇用と年功序列が機能した理由として日本を取り巻く環境の特殊性があります。まず日本の労働市場が非流動的だったことがあげられます。転職が今ほど当たり前ではなかったため、働き手は企業に長くコミットすること、すなわち一社で長く働くことが合理的な選択となりました。事実、年功序列では若年時に給料が低かったとしても、高齢期には生産性よりも高い給料がもらえるため、従業員は長く働くインセンティブを持つようになります。また、1社で長く働くことが前提とされているため、従業員は長期的な視野で会社から教育を受けることができ、このことがひいては組織の生産性の向上にも資するものとなりました。

加えて、経営者側からすれば、人口拡大期(人口ボーナス)には相対的に高齢層が少ないため、全体としては生産性に比べて安い賃金で人を雇用できる(生産性の高い若年層を低賃金で雇える)というメリットがあったため、多くの日本企業が終身雇用と年功序列を基本としました。このことは日本の転職市場の脆弱性をさらに拍車をかけ、巡り巡って終身雇用、年功序列をさらに強固なものにさせました。

一方で、終身雇用、年功序列のレールから外れてしまった転職者、労働者は、日本の労働市場がうまく機能しなかったことから、能力があれば外資系企業への転職が可能であるものの、十分な能力がなければ終身雇用、年功序列と比較して、不安定な状況、条件で働かざるを得なくなったことが考えられます。

なぜ年功序列が機能しなくなったのか

このような日本企業の競争の源泉とも言われた終身雇用、年功序列がうまく機能しなくなったのはなぜでしょうか。以下に幾つか理由をあげてみます。第一にビジネス環境の変化があげられます。終身雇用、年功序列においては、若年層は生産性に比べて、低い賃金なものの、高齢期には生産性よりも高い賃金がもらえることを前提としています。この前提が可能となるのは、企業の競争環境が安定的な場合や市場が拡大している場合のみです。仮に市場が縮小している状況においては、若年層が賃金よりも高い生産性を発揮しようとも、高齢層による生産性を上回る賃金をカバーできなくなる可能性があります。

第二に少子高齢化の影響があげられます。少子高齢化が進めば、生産性よりも低い賃金しか支払わなくてもいい若年層が減る一方で、生産性よりも高い賃金を支払う高齢層が多くなってしまいます。この状況は賦課方式の年金と似ています。かつては5人の若者で1人の高齢者を支えていたのが、今後は2人の若者で1人の高齢者を支えることになることと同様の状況が年功序列、終身雇用を採用している企業でも起こってくるのです。

第三に高齢層のフリーライド問題及び組織全体としての生産性の低下が上げられます。高齢層は若年期に頑張った分、高齢期には生産性よりも高い賃金を高齢期にはもらえるので、十分に働かなくなるというインセンティブを持つようになります。いわゆるモラルハザードです。モラルハザードは「倫理観の欠如」といったような意味で使われる時もありますが、経済学においては必ずしも倫理的な問題のみを扱っているわけではありません。上述した状況において、高齢層からしたら生産性よりも高い賃金をもらえることが前提になっていることから、「働かないこと」が合理的な選択になるのです。場合によっては、「若い時に低い賃金でたくさん苦労して会社に貢献したのだから、今は大して働かなくても高い給料をもらうのは当然だ」と、自身の高給を正当化させる場合もあります。 なお、このような個人の行動としては合理的なものの、組織としては生産性が下がってしまうような状況を生み出してしまうことは、個人の倫理観の欠如に起因しているというよりも制度自体が問題といえます。

また、高齢層にモラルハザードが蔓延すると、若年層は働くモチベーションは下がってしまいます。なぜなら自分達よりも生産性が必ずしもそれ程高くないにもかかわらず、高給取りの高齢層が多くいると感じてしまうからです。

このように、終身雇用と年功序列の制度では若年層にとっても、高齢層にとっても働くインセンティブがマイナスに働いてしまうことがありえます。なお、気をつけていただきたい点は、ここでいっている高齢層の生産性が低いというは、もらっている給料に比べて低いという相対的なものということです。高齢層の絶対的な生産性が低いということを意味していない点は留意が必要です。

年功序列におけるフリーライド問題とモラルハザード問題

従業員の生産性について、情報の非対称性がある場合はさらに企業の生産性を下げるリスクがあります。会社における社内の他人の給料がわからないということは、仕事の成果、評価及び生産性もよくわからなくなってしまいがちです。一方で自身は自分の生産性と給料はともに把握することができています。このような状況で、自分の生産性がわかっているかつ、生産性の高い若年層は自身の生産性に見合った給料をくれるような外資系企業に転職するインセンティブをもちます。

他方、生産性の低い若年層と賃金に比べて生産性の低い高齢層は自分の給料が周りにわからないことをいいことに、生産性が低いままでも安定的な年功序列の給料を受け取り続けるインセンティブを持つようになります。このような状況がいきすぎてしまいますと、結果として給料に見合わない生産性の人ばかりの組織になってしまいます。すなわち、「悪化が良貨を駆逐する」状況、経済学で言うところの「逆選択」が生まれる可能性があるということです。

このようにビジネス環境の変化、少子高齢化、フリーライド問題・モラルハザード問題といった状況が続いた時、生産性の高い若者は次のような考えを持つようになるのは自然の成り行きといえます。

すなわち、「環境の変化が激しく、少子高齢化が進んでいるため、長期的に働いたとしても今の人たちのように高齢期に生産性よりも高い賃金を享受できるとは必ずしもできない。それなら転職していますぐ自分の生産性に見合った給料をもらう方が良いのではないか。実際、日産、パナソニック、シャープ、NEC東芝等の伝統的な日本企業も多くのリストラをしてきている。他方で、幸いにもかつてに比べて日本の転職市場は充実している。それならば、不確実性の高い年功序列の将来の給料のため、今の低い給料で我慢しながらやりたくない仕事をよりも、自分がやりたい仕事をいますぐに生産性に見合った賃金でやる方が良いのではないか」と。

日本の転職市場と企業の経営危機

ところで、日本において転職市場が充実した理由の一つとして、1990年代の後半の日本の金融危機や2010年以降の日本のメーカーの経営危機があげられます。1997年には山一証券が、そして1998年には日本長期信用銀行が破綻しました。それまで、日本においては護送船団方式の金融行政が行われていましたが、バブル崩壊の後遺症により多くの金融機関が破綻をしたり、経営危機を迎えました。その結果、金融機関が瀕死になったことで、終身雇用で雇われていた多くの優秀な金融マンが転職市場やベンチャー企業に流れ込んでいき*1、日本でも転職市場の厚みが増すこととなりました。また2008年にはベアスターンズやリーマンブラザーズが破綻したり、多くの外資系金融機関が日本の金融ビジネスから撤退したことで、多くの金融マンが転職市場に流れ込むこととなりました。金融業界以外では、2010年以降、日本のメーカーが経営危機に立たされ、多くのリストラがなされたとことで、これまで終身雇用、年功序列が一般的だった技術者が転職市場に流れ、中国や台湾系の企業に再就職する流れを後押ししました。

換言すると、年功序列、終身雇用といった状況を無理やり維持しようとしたものの、環境の変化等もあり企業側の体力が持たず、企業が経営危機に陥りリストラをすることで、日本の転職市場は大きくなってきたとも言えます。このことは結果として、終身雇用に代わって転職市場が雇用の受け皿になったとも考えられます。

優秀な人が辞める理由とは

以上のようにビジネス環境の変化は企業の雇用体系にも影響を与え、優秀な人ほど、自分の生産性に見合った給料をすぐにもらうために、また社内でくすぶるのではなくやりたいことをすぐにやるために、会社を辞めていくようになったものだと考えます。

いわゆる米系の外資系企業は、「grow or out」という言葉があるぐらいで、生産性が高ければそれに見合った給料を払う一方、期待に沿った働きができないとクビにするような雇用体系を用いています。さらに一層のリスクをとるのが、成功すれば大儲けでき、失敗すれば倒産をしてしまうベンチャー企業となります。

これらは終身雇用、年功序列の働き方とは対照的ですが、いつまで終身雇用と年功序列が保証されているかもわからず、高齢期にリストラをされる可能性があるぐらいならば、若年層が現時点で生産性に見合った給料をもらうのを希望することやストックオプション等により将来のアップサイドを期待することは、リスクリターンの観点から十分に説明がつくものだと考えられます。

実際、行動経済学の研究によれば、これまで経済学では想定されているよりも人は現在の価値を重きに置く傾向があることがわかってきました(双曲割引といいます)*2。今の世の中は1年後さえどうなるかわかりません。それならば、今後も永劫的に続くかどうかわからない終身雇用や年功序列にbetするよりも、今の自分の可能性に賭ける方が自分自身納得できるという人が出てくるのも頷けます。

なお、このような日本の労使関係の変化は必ずしも悪いとは限りません。むしろ、終身雇用、年功序列を未来永劫続ける方が企業にとっては困難ですし、企業にとっても現時点で若年層に対して、高齢期における生産性よりも高い給料を保証できる余裕もありません。

終身雇用、年功序列と対極に位置するのがプロジェクト単位での雇用です。現在ではテクノロジーの進化も相まって、資金はクラウドファンディングで調達し、人はクラウドソーシングで集めるといったことも珍しくなくなってきました。プロジェクト単位での雇用の給料はまさに生産性で決まるものです。今後はむしろこのような流れが加速していくのではないでしょうか。

まとめ

これまでの話を要約するといかの3点にまとめられます。

  • 日本の年功序列は若年期は生産性よりも低い賃金が、高齢期には生産性よりも高い賃金が支払われる仕組みである(ラジアの賃金モデル)。
  • 経済環境の変化、少子高齢化及び年功序列がもたらすフリーライド問題・モラルハザード問題等は年功序列を持続可能なものとしなくなった。
  • 将来の不確実性が高い状況において生産性が高い若者は、若年期に年功序列により生産性よりも低い給料に甘んじるよりも、すぐに生産性にみあった給料をもらえるような会社への転職をするようになる。また、日本における転職市場の拡大、外資系企業の参入、ベンチャー企業の勃興は終身雇用・年功序列のレールに乗らなくなった人たちの受け皿にもなっている。

今後の課題

最後に今回記載した記事についての課題を以下で述べます。

  • 優秀な人ほど先に辞めるというのはあくまで実感であり、実際の数値的なデータを確認できてはいない。そのため、数字的な裏付けも重要になってくる。
  • 上述のラジアの賃金モデルを使った説明は生産性と賃金の関係だけから若者が辞める理由を説明しているが、実際の退職の理由は賃金だけで決まるわけではない。
  • 高齢層でも転職をする人はいる。ラジアの賃金モデルに従えば、彼らは最初の企業にとどまっていれば今後生産性よりも高い給料をもらえる可能性があるにも関わらず辞めることを選択している。
  • 本記事は日本の年功序列の仕組みから生産性の高い若者が辞める原因を説明しているが、年功序列を採用していない外資系企業やベンチャー企業でも生産性の高い若者が辞める話は聞く。このような退職は自身の成長や仕事のやりがいによって起こっていると考えられるが、このような状況を説明できない。
  • 退職金、ボーナス、福利厚生の議論が捨象されている。
  • 資本水準や技術水準の変化が生産性に与える影響を捨象している。

なお、これらの説明が出来ないからといって経済学的な説明が意味をなさないというわけでは決してないと筆者は考えています。むしろ、論点を絞り賃金と生産性の関係だけに焦点をあてたことで、みえてくるものもあるかと思います。ただし、上述した課題について説明が出来ないことは事実なので、その点はさらなる議論が必要です。これら課題については引き続き考えを深めていきたいと思います。

*1:実際、長銀出身者は、起業をしてリサパートナーズ、ジェイウィルパートナーズ、グラックスアンドアソシエイツ、アセットマネージャーズ等のファンドや投資会社、コンサル会社を設立しています

*2:双曲割引を説明した行動経済学の本は多数ありますが、中でも以下の本は双曲割引により重点を置いて書かれています。

自滅する選択―先延ばしで後悔しないための新しい経済学

自滅する選択―先延ばしで後悔しないための新しい経済学

なぜ優秀な人から先に会社を辞めるのか 前編

FED Academic Review
FEDでは、今後、「FED Academic Review」(通称、FAR(ファー))と題して、経済学の論文をベースにしたコラム的なものを書いていきます。
第1回目となる今回のテーマは「なぜ優秀な人から先に会社を辞めるのか」です。優秀な人から先に辞めるということについて客観的なデータのようなものは見つけられていませんが、会社で長く働き残っている人が、自虐的に「優秀な同期はみんな会社を辞めてしまった」という会話はよく耳にします。また、プロ論*1という本があるのですが、ここに出てくる人達はほぼ全員が転職経験者です。こういった事実から優秀な人から会社を辞めていくということは実際に起こってそうです。

今回はラジアの賃金モデル*2からなぜこのような現象が 日本で起こっているのかを説明したいと思います。


賃金は生産性で決まるのか
一般的な経済学においては、実質賃金は働く人の生産性で決まります。すなわち、生産性が高い程、賃金が高く、低いほど賃金は安くなるというものです。ですが、この説明では日本企業に長年根付いている「終身雇用」と「年功序列」と言われる日本的経営の労使のあり方を説明することができません。なぜならば、年功序列においては、賃金は必ずしも生産性で決まるわけではなく、働いた年数で決まるからです。


年功序列を説明するラジアの賃金モデル
この年功序列(勤続年数)と賃金に関する関係を説明したのがラジアの賃金モデルです。詳細な説明はそれなりの数学を要しますので、ここではエッセンスのみご説明いたします。

上述したように通常は、賃金は生産性によって決まります。資本水準及び技術水準を一定と仮定した場合、働き始めたばかりの新人の生産性は低いものの、働く期間が長くなれば生産性はあがっていきます。一方で、生産性は天井なしに上がるものではなく、ある程度経てば頭打ちします。また、加齢からくる体力の衰えや記憶力の低下により生産性が落ちることもあります。もちろん、ベテランになることで、これまでの経験や人脈を生かすことで生産性が継続的に上がることも考えられなくはないですが、ここでは、時間とともに生産性の上昇は低減していくものと考えます。

他方、終年功序列を前提とした場合、働く期間とともに常に賃金は上がっていきます。なぜこのような賃金体系が可能なのでしょうか。

ここで働く期間を若年期と高齢期の2期間で考えてみます。通常では若年期であろうが、高齢期であろうが、賃金は生産性に一致します。しかしながら、年功序列では、若年時は生産性よりも「低い」賃金しか労働者は もらえないものの、高齢期になれば生産性よりも「高い」賃金をもらえるような設計をしているものと考えられます。このようなコンセプトがラジアの賃金モデルです。以下のグラフは横軸に労働年数、縦軸に賃金/ 生産性を取ったもので、ラジアの賃金モデルを可視化したものです。赤い線は生産性と賃金が一致しているケース、青い線はラジアの賃金モデル(年功序列における賃金)を表現したものです。グラフからわかる通り、若年期においては青い線(賃金)は赤い線(生産性)を下回るものの、高齢期においては、青い線は赤い線を上回ります。

ラジアの賃金モデルによる雇用体系では雇用主、労働者はにとってどのようなインセンティブが生まれてくるのでしょうか。まず若年期は賃金が低いものの、高齢期になれば高い賃金をもらえるので、若年期だけ働いて会社を辞めるということは働き手にとっては給料面で不利に働きます。よって、若年期の頃の賃金を取り戻すために、労働者は長く働こうとするインセンティブを持ちます。このことは経済学ではホールドアップ問題ともいいます。すなわち、労働者がある程度の期間を企業で働くことにコミットしてしまうと、簡単には企業をやめにくくなる状況になるということです。優秀な人材を長期間雇いたい雇用主からするとこれはメリットが大きいです。また、雇い手側からしたら働き手が長期間企業に留まってくれるので、長期的な視野で経営や人材育成をできるといったメリットもあります。

加えて、年功序列により若年期は生産性よりも低い賃金、高齢期は生産性よりも高い賃金をもらえるということは、見方を変えれば、世代間の所得移転、すなわち年金のような仕組みともいえます。そのため、働き手からしたら高齢になっても安心して働けるとともに、給料を安定的にもらえるというメリットがあります。

上述したメリットがあり、また日本的経営の競争力の源泉の一つとなっていた終身雇用、年功序列の仕組みですが、この仕組みにおいて、なぜタイトルのように優秀な人から会社を辞めていくのでしょうか。次回はその核心に迫りたいと思います。

*1:

プロ論。

プロ論。

*2:Edward P. Lazear(1981),” Agency, Earnings Profiles, Productivity, and Hours Restrictions”, American Economic Review , Vol. 71, No. 4 (Sep., 1981), pp. 606-620

FEDで振り返る2016

2016年もFEDの活動にご参加いただき、またご興味を持っていただき、ありがとうございました。以下にて2016年に於けるFEDの活動を振り返ります。

2016年は合計24回の勉強会・読書会を開催いたしました。平均すると月2回のペースで開催したこととなります。今年のFEDの主たる活動としては、①フィンテック勉強会(1月、2月)及びプロのエコノミストの方々にご協力いただいたマイナス金利政策勉強会、Brexit勉強会(7月)そしてアメリカ大統領選勉強会(11月)といった時事を扱った勉強会が多かったこと、②新たな輪読の課題図書として「法と経済学」を取り上げ1〜2ヶ月の1回のペースで読書会を開催したこと、③マーケット3部作読書会として、「Who gets what」「市場を創る」「マーケット進化論」(4-6月)を取り上げた読書会を行ったこと、等が挙げられます。

中でも①の世間で注目されている話題を課題にした勉強会を多数開催したことで、例年以上にFEDに初めてご参加いただいたという人が多かった年だと感じています。他方で、②の法と経済学勉強会や③のマーケット3部作読書会といった、以前からFEDにご参加いただいているからからもFEDらしいと感じていただけるようなコアな勉強会も継続的に開催することができました。

今年は外部からの講師としては、ベンチャー界からブロックチェーンの実務に携わっている方(都合により名前を出すことができずすみません。)を、アカデミックからはマーケット進化論の著者である名古屋市立大学の横山和輝先生を、マーケットの実務の業界からは「なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?――日本人が知らない本当の世界経済の授業」の著者である松村嘉浩さんを、そして政策の現場からは「徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす」の著者の一人であり、FED事務局長の大学院の同期でもある小林庸平さんをお招きし、素晴らしいプレゼンテーション及び参加者とのディスカッションをしていただきました。

また、先述した通り、マクロ経済関連の勉強会ではCEOの主催者の皆様に多大なご協力をいただきましたし、大和総研エコノミストでいらっしゃる是枝さんのご協力により、「自滅する選択肢」の読書会では高崎経済大学の安達先生及び安達ゼミの学生にもご参加いただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。

加えて、FEDの活動の番外編として、7/31の東京都知事選の日に、カタリバ大学におきまして、金融をテーマとして、ちょうど話題になっていたポケモンGO任天堂の株価を題材に大学生向けにプレゼンも行いました。学生に対してプレゼンをするのは数年ぶりでしたが、事務局にとっても学びの多い会となりました。こういった形で学生の学びにも今後も貢献していきたいと考えております。

さて、2016年は日銀のマイナス金利政策、Brexitとしてアメリカ大統領選挙においてトランプ氏が勝利といったように、世の中の大勢が予想していた動きと現実の動きとでは大きな乖離がありました。このような状況が松村さんが書かれた本のタイトルように「なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?」の原因の一つにも起因しているのかもしれません。

FEDは、リーマンショックの翌年の2009年11月から前身となるマンキュー経済学勉強会の活動を通じて、金融や経済の理解を深める場の提供をできるよう活動を続けてまいりましたが、2016年はマンキュー経済学勉強会を開始した当時のように「経済って本当よくわからないし難しい。でもだからこそ面白い」と感じました。

2017年のFEDでは引き続き「法と経済学勉強会」の輪読を続けるとともに、世の中で起きている目の前の事象ばかりにとらわれるのではなく、より大きな大局観を持てるような勉強会・読書会を開催していきたいと考えております。具体的にはより経済、金融、そして経営の理論や歴史を重視した上で、「未来の金融をデザインすること」をミッションに現在起きている事象の根本の原因までを考えられるような会を設計できればと考えております。2017年もどうぞよろしくお願いいたします。

 
 

【開催報告:2016年10月23日(日)金融経済読書会:なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?】

今回の金融経済読書会では「なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?」を課題図書とするとともに、著者である松村さんをお招きしました。

本のタイトルにあるように、現在多くの人が未来に対して漠然と不安を感じているという状況に対して、その不安の根源は何なのか、そして進撃の巨人アイアムアヒーローといったよくわからない巨大な動きに対して人々が直面するという漫画が流行っている現実の社会において、今後世の中はどうなっていくのか等といったことを考えるきっかけにしたいと思い、今回は本書を課題図書とした読書会を開催することにしました。 
今回の読書会では、①最初に著者の松村さんにご講演していただき、②その後、参加者がグループに分かれて、本書において議論したい論点を出してもらうとともに、③それらの論点に対して松村さんからコメントを頂戴するといった構成になりました。 
①の松村さんのご講演では、本書を書くきっかけとなった問題意識、なぜ今回のような小説形式にしたのか、またなぜ漫画や音楽、アートといった題材を多く本に取り入れたのか等、本書が完成するまでの裏話を多く聞くことができました。「ここだけの話」というのが結構ありましたので、ここでは詳しくは書けないのは残念ですが、松村さんは元外資系金融機関のトレーダーということもあり、国債金利スワップLibordiscount rate、銀行と国家の関係、社会保障の問題等マーケットの現場にいらっしゃった実務家ならでは視点で、わかりやすい解説をしてくださいました。 
 
②のグループディスカッションでは以下のような意見が出ました。
-今後の引き続き経済は成長できるのか、もしくは経済の成長を前提とすべきではないのか。
-成長の限界という論点について、AIが成長を促すきっかけになるのではないか。
-モヤモヤとした不安の背景には、社会、政治、メディアに対する不信感が募っているというのがあるのではないか。今後はSharing Economyといった新たな経済の形において、いかに人々や物事が信用を獲得することが重要になってくる。すなわち、信用創造がキーワードになってくるのではないか(ここでいう信用創造とは、中央銀行が金融政策及び市中銀行の貸出を通じて、マネーストックを増やすといった意味での信用創造とは異なります。)。
-(若者の参加者の意見として)生まれてからずっと低成長だったので、今のような低成長時代が当たり前に感じており、特段不安は感じない。
-成長の限界ということに対して、総論では賛成だが、既得権益者が各論反対ということになっているのだろう。莫大な財政赤字に対して、ハードランディングをするしかないのではないか。
-ポスト資本主義に至るプロセスがどうなるかが重要ではないか。いわゆる定常経済という状況について、地方経済はすでに定常経済になっている可能性がある。そして、そのような地方経済にはマイルドヤンキーといった地域密着の動きも出てきている。財政赤字については、ハードランディングをするのではなく、年金だけ一部デフォルトにするなどのソフトランディングも考えられるのではないか。 
課題図書の感想とも言える上記②に対して、③で著者の松村さんからは一つ一つ丁寧にコメントを頂戴しました。元外資系金融でのトレーダーというバックボーンもあり、コメントにおいて、過去の経済情勢の経緯、リーマンショック時に一度リセットするということも考えられた等の示唆に富むコメントをいただきました。 
本書の主張及び今回のディスカッションを誤解を恐れずに乱暴にまとめてしまうと、「世の中は、財政政策、金融政策、テクノロジー等でなんとか経済を成長させようとしているが、成長には限界があることがみんなうすうす気が付いている。そして、財政政策、金融政策、社会保障問題の結果として、日本を筆頭に莫大な財政赤字を世界中の国々は抱えてしまっている。社会保障については、将来実際に支払う必要があることが確定しているものの、それらの支払いは高い経済成長と高い運用利回りを前提としている。しかしながら、経済成長は定常状態に到達するとともに、将来の社会保障費を支払うような高い運用利回りは達成できていない。となると、今後はいつか社会保障費の支払いに限界に来るが、政治的文脈において、このようなことは政治家はいうことはできない。社会保障が将来手当てされなくなると将来に不安を感じてしまう。将来へ不安が消費や投資を萎縮させて、経済は益々縮小してしまう。さらに日本では事実として、人口減少が進んでいる。人口が減少すると一人あたりGDPは減ってしまう。これらの矛盾をどこかで解消する必要があるが、その手当ては必ずどこかで痛みを伴う。一方で、その痛みを受ける覚悟を政治家はもちろん国民もできてない。本質的には経済が持続的に成長さえすればこれらの矛盾はすべて解消されるが、それが実は無理なんじゃないかと気付き始めていることが不安の正体の一つではないか」ということになると思います。  
こういった整理をしていると、なんだかとても暗い感じがしてきますが、ノストラダムスの大預言のような不可避な不安ではなく、上記は我々が生きている社会におけるリアルな課題であるので、目を背けずにきちんと向かいあうとともに、自分は何が出来るのかを考えることが課題解決の第一歩かと思います。 
FEDとしてもこういった経済や金融に関する多くの課題を考えるきっかけとなる場を今後も提供して行きたいと考えております。 
なお、最後になりましまが、著者の松村さんからは「今回は核心についてお話しすることができなかった。また機会があれば特別編としてお話ししたい。」とコメントを頂戴しております。今回参加された方も出来なかった方もご興味があれば、いいね!やコメントを頂戴できますと幸いです。 
 
 

f:id:fedjapan:20170129004050j:imagef:id:fedjapan:20170129004047j:image

 

 

Kindle unlimitedで読める経済・金融関連の本

kindle unlimitedの対象になっている経済・金融関連の本をいくつかご紹介します。経済、投資関連では株やFX系の本が多いですが、探せば結構名著も出てきます。いい本が見つかった時は、古本屋で探していた本を見つけた時の気分に似ていますね。

ミクロ経済学の力

ミクロ経済学の力

東大の神取先生が書かれた名著。私が学生時代の頃は学部レベルのミクロ経済学を学ぶにあたっては武隈ミクロか西村ミクロが定番でしたが、今の定番はこの本か八田ミクロでしょう。この1冊だけでもunlimitedに入る価値があるかと思います。

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

「道具としてのファイナンスの」著書が書いているコーポレートファイナンスに入門書。これを読めばコーポレートファイナンスの基礎的な考え方を一通り知ることができます。企業の格付と株価ってどう違うのか等、実はあまりきちんと知られていないこともきっちりと抑えられています。

道具としてのファイナンス 問題集

道具としてのファイナンス 問題集

「道具としてのファイナンス」の著書が約10年ぶりに書いた新著が早くもunlimitedの対象になっています。先週この本を買ったばかりなのですが・・・(涙)

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

クリス・アンダーセンの名著フリーもunlimitedの対象になりました。2009年に発売された本書の重要なメッセージのひとつは、IT化が進む世界では、複製コストが限りなく小さくなることから、フリービジネスが展開しやすくなるということです。本書が発売された当初はmだスマホがそれほど普及していませんでしたが、その後、スマホが普及する中で「フリー、IT、プラットフォーム」という3種の神器がビジネスの中で猛威を振るうようになるのはご存知の通りかと思います。今読むとすでに古典のような内容にもなりますが、ないようないまだにはプレイスレスかとおもます。

インベスターZ(1)

インベスターZ(1)

ドラゴン桜の作者が投資を題材に描いた漫画。以前から気になってはいたのですが、kindle unlimitedに入っていたのを知り早速読みました。アマゾンの書評では「この本は投資の本ではなく、投機の本」と書かれていたので、あまり期待してはなかったのですが、思ったよりもまともま内容でした。プロスペクト理論機会費用、ファーストペンギン、ゴールドラッシュ時に金を掘る人になるのではなく、金を掘る人を対象にするビジネスを展開する話等、元ネタを知っている人はより楽しめまし、普通に勉強になります。アマゾン書評で書かれていた「投機」の定義はよくわかりませんが、本書では比較的短期で売り買いするシーンが多数描かれているので、それを持って投機としているのかとは思います。繰り返しとなりますが、書かれている内容は個人的にはまともだと思います。断言的な物言いが多いのはちょっと気になりますが、それぐらいでないとメッセージ性が弱くなるので、あえてそうしているのでしょう。

以上です。