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主に経済や金融に関する記事や開催した読書会や勉強会の報告を書いております。

マイナス金利と日本経済_FED特別勉強会_開催報告_2016年3月6日(日)

今年の1月に日銀がマイナス金利政策の実施を公表して以降、長期金利が初のマイナスになり、日本の経済、金融環境に大きな影響を与えています。そこで、マイナス金利政策の理解を深めるため、3月6日(日)にマイナス金利政策の勉強会を開催致しました。当日の資料はこちらとなります。

上記スライドを用いたプレゼンの後、チームに分かれてマイナス金利政策における論点出しを行いました。その結果、以下の6つの論点についてチームに分かれて議論を行うこととしました。

  1. マイナス金利下において、今後金融機関はどのようにして儲けていくのか。
  2. マイナス金利は企業行動にどのような影響を与えるのか
  3. マイナス金利によって家計はどのような影響を受けるのか。
  4. 日本経済全体から見た場合、マイナス金利は日本経済にどのような影響があるのか。
  5. マイナス金利政策はそもそもどのような効果が見込まれるのか。
  6. マイナス金利政策はグローバルではどのような影響があるのか。

当日はエコノミストの方やセントラルバンカーの方もお招きしたこともあり、非常に活発な議論がなされました。議論の中では以下のような意見がございました。

  • マイナス金利下で金融機関が儲けるのは恐らく難しい。また、マイナス金利の負担を家計に転嫁できないのではないか。
  • マイナス金利政策を実施したとしても企業の投資が増えることはないように思われる。すでに企業にはお金が余っている状況。新規投資を促すはベンチャーに企業にお金が回るような仕組みが求められる。
  • 住宅ローンの面では家計にもメリットがあるのではないか。
  • 前々から日銀がイシューとしている「デフレマインド」とはそもそも何か。本当に「デフレマインド」がイシューなのか。日本経済が今の状況から脱却するには構造転換の方が重要ではないか。
  • 日銀の独立性について家庭の例を用いる。親が国民、子が政府とした場合、中央銀行は家庭教師の役割を担っている。子どもが親から言われていることをしっかりと行っていない場合は、家庭教師は子どもに対してやるべきことを指導する必要がある。中央銀行はこの文脈での家庭教師の役割と似ている。
  • 日本がマイナス金利になると、国内での運用は儲からなくなるので、これまで以上に海外での運用が重要になってくる。またグローバル企業と非グローバル企業の差はますます大きくなっていくのではないか。

日本の経済や金融政策の動向の理解を深めるには、日銀の動向に加え、他の国の中央銀行の金融政策もウォッチすることが重要となります。今後もFEDでは、金融政策の観点からも今後の経済・金融の状況をフォローしていきたいと思っております。引き続きどうぞ宜しくお願い致します。