FEDで振り返る2017年
【FEDで振り返る2017年】
本年も残りわずかとなりました。今年も多くの方にFEDにご参加いただくことができました。ありがとうございます。2017年は合計20回の勉強会を開催しましたが、以下ではいくつか印象的な内容を振り返ります。
①約2年をかけて法と経済学勉強会を終了
2016年1月から開催してきた法と経済学勉強会を今年の11月に無事終了することができました。最終回では、翻訳者の東大の田中亘先生をお招きし、「上場会社のパラドックス」といったテーマで講演をしていただきました。また、ガバナンスと観点では、「ガバナンス改革 先を行く経営 先を行く投資家」の著者の一人である槙野さんをお招きし、プレゼンをしていただきました。2017年は20数年振りの株高となり、その理由はいくつかあるとは思いますが、その理由の一つして伊藤レポート、スチュアードシップコード、コーポレートガバナンスコードをはじめとしたガバナンス改革もあげられるかと思います。この動きは2018年もFEDとしても引き続きフォローしていきます。
- 作者: スティーブン・シャベル,田中亘,飯田高
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
②粉飾決算関連
2017年は東芝の粉飾決算問題が大きく取り上げられましたが、その関連で、会見評論家の細野祐二さんを2度お招きし、それぞれの回で東芝の粉飾決算と新著である「粉飾決算VS会計基準」についてご講演をしていただきました。最近は日系企業の不祥事もニュースも多く取り上げられていますが、そう言った文脈と照らし合わせても、「なぜ粉飾決算は起こるのか」といったことについて、専門家の細野さんが興味深いお話を伺うことができました。
③国際経済学関連
2017年の最初の金融経済読書会は「移民の経済学」を取り上げました。また、移民問題に加え、TPP等の国際貿易の理解を深めるために、4年振りにクルーグマン国際経済学勉強会を再開しました。クルーグマン国際経済学勉強会はまだ3回しかできておりませんので、2018年も引き続き勉強会を続けていきます。
- 作者: ベンジャミンパウエル,Benjamin Powell,薮下史郎,佐藤綾野,鈴木久美,中田勇人
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
クルーグマン国際経済学 理論と政策 〔原書第10版〕上:貿易編
- 作者: Paul R. Krugman,Maurice Obstfeld,Marc J. Melitz,山形浩生,守岡桜
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 2017/01/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (3件) を見る
毎年年末になると多くの経済雑誌等で「エコノミストが選ぶ経済図書」といったランキングが発表されます。今年FEDで取り上げた本も、いくつか取り上げられていたので、ご紹介します。
- 「原因と結果」の経済学(週刊ダイヤモンド「ベスト経済書」ランキング1位、日経新聞エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10第8位。4月に読書会を開催し、慶応大学大学院の博士課程の方をお招きし、プレゼンをしていただく。
金融に未来はあるか――ウォール街、シティが認めたくなかった意外な真実
- 作者: ジョン・ケイ
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/06/23
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
また、上記以外にも、2017年度にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーの著者である「行動経済学の逆襲」も読書会の課題本として取り上げました。
④2018年のFEDのフォーカス
2018年は労働市場に関連する勉強会に力を入れることを考えております。FEDの勉強会では何度かお話しさせていただいておりますが、マクロ経済市場は、財・サービス市場、金融市場、そして労働市場と3つの市場から成り立っています。そして、これらの市場は相互に影響をしています。そのため、未来の金融を考えるにあたって、労働市場の理解を深めることは非常に重要となります。
今年、法と経済学勉強会が終了したことで、次回の輪読の本は労働市場を組織の観点から分析している、ラジアの「人事と組織の経済学」を取り上げる予定です。補足ですが、「法と経済学」の輪読の前は、「組織の経済学」の輪読をやっており、その流れで「人事と組織の経済学」を課題図書として輪読を行うことにしました。
- 作者: ポール・ミルグロム,ジョン・ロバーツ,奥野正寛,伊藤秀史,今井晴雄,西村理,八木甫
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
- 作者: エドワード・P・ラジアー,マイケル・ギブス,樋口美雄,成松恭多,杉本卓哉,藤波由剛
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
加えて、現在は政府主導の「働き方改革」が注目されていますが、経済書においても労働経済関連の本が注目されています。具体的には、日経新聞エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10第1位の「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」、同2位の「働き方の男女不平等」、そして同4位の「日本の人事を科学する」等です。FEDでも、2018年最初の勉強会は労働をテーマとしており、1月20日に慶応大学の山本勲先生をお招きし、「働き方改革:日本人の働き方と労働時間」というテーマでご講演をしていただく予定です。また、若手エコノミストもお招きし、パネルディスカッションも行う予定です。参考図書はございますが、課題図書はないので、お気軽にご参加いただけますと幸いです。
https://www.facebook.com/events/1594532210585701/
以上、FEDで振り返る2017年でした。来年もどうぞよろしくお願いいたします。