第2回法と経済学勉強会_開催報告_2016年2月28日(日)_
2月28日(日)に第2回法と経済学勉強会を開催しました。
今回は、第5章「財産の利用における対立と協調:外部性の問題」、第6章「公共の財産」、そして第7章「知的財産」を扱いました。
- 作者: スティーブン・シャベル,田中亘,飯田高
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: 単行本
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例えば9時が会社や工場の始業時間とする場合、9時から準備をして9時半の開店にそなえる場合や、工場を稼働させるために準備をすると行った場合、ある人の遅刻は他の人の仕事の生産性に影響を与えるため、負の外部性が存在しているといえます。他方、ホワイトワーカーの場合、正直なところ、9時が始業時間として、9時5分に出社したとしても、9時から会議やミーティングがない限り、他の人に仕事上影響をあたえる(外部性が発生する)ことは限定的かと思います。こういった場合でも本当に9時に出社すべき合理性はあるのかや、どういったルール作りが望ましいのか等を議論しました。
6章では、経済学で言うところの公共財について学びました。企業の会計監査を行う監査法人を公共サービスとして捉えた方がよいのではないかという提案に対しては、プリンシパル=エージェンシー問題の点から、監査法人の選定については、2重のエージェンシー問題、すなわち、株主⇒経営者⇒監査法人が存在するのがイシューであって、株主の利益(公共の利益)を沿うように監査法人を選定できれば、必ずしも監査を公共サービスにしなくてもよいのではといった議論がなされました。
最後の7章では知的財産について経済学的な視点から議論を行いました。具体的には著作権や特許についてビジネス上、どう扱うか等活発な議論がなされました。
これまで「法と経済学」の本を用いて2回勉強会を開催して来ましたが、個人的には正直なところやや消化不足なところがあります。今のところ1回で100ページ程扱っていますが、もう少し扱うページを減らしてでも一つのトピックを深掘りした方が、理解が深まるのではないかと考えております。この辺りは進めながら参加者の皆様の意見を踏まえて、どうするかを決めていきたいと思います。