未来の金融をデザインする

主に経済や金融に関する記事や開催した読書会や勉強会の報告を書いております。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

ご報告が遅れましたが、先月12月5日に第8回組織の経済学勉強会を開催しました。おかげさまで1年かけて組織の経済学を輪読し終えることが出来ました。

組織の経済学

組織の経済学

最終回では、第16章企業の境界と構造と第17章経営・経済システムの進化を扱いました。今回の勉強会では、企業の構造として、事業部制組織の仕組みや垂直統合の長所について学びました。また、事業部制組織の関連で、職能別組織やマトリックス型の組織、人事部長とCHRO(Chief Human Resource Officer)の違い、内製化かアウトソースか、についての議論も盛り上がりました。

1年を通して組織の経済学を学んでこれまで以上に経済学の懐の深さを実感した次第です。組織という切り口ですが、労働市場や金融市場の在り方についての章もありましたし、インセンティブや契約論の仕組みについても多数の言及がありました。

本教科書は今から25年前の1990年前後に書かれていたこともあり、日本的経営が長期的な視野を持っている一方、アメリカ型の経営は短期的だという記載があったのも印象的でした。今から振り返って見ると、日本ではその後のバブル崩壊を経て失われた20年間に突入する一方で、アメリカは2000年のドットコムバブルや2008年のリーマンショックを経つつも、少なくともテクノロジーの分野では世界最先端を走っています。その強さは組織にあるのか、労働市場にあるのか、はたまた金融市場にあるのか。恐らく全て影響しているかと思いますが、組織の経済学を学ぶ中で、複雑に絡まったブラックボックスの糸をほどいていく手がかりを得た気がします。

2016年はシャベルの「法と経済学」を1年ぐらいかけて読む予定です。FEDは精読を重視しています。時間はかかりますが、分厚い本をしっかりと読み終えた後にはきっとこれまでとは違ったものの見方が身に付いていると思います。FEDでは過去6年間でマンキュー経済学、Principles of Corporate Finance、Valuation、そして組織の経済学を輪読を通じて読み終えてきたからこそ確信しています。

変化や流行り廃りが早く、情報が溢れかえっている世の中だからこそ、たまには立ち止まって、理論と向き合い、著者とゆっくりと対話しながら、そして勉強会参加者と議論しながら自分でしっかりとものを考えることが大切になってくると思います。2016年も皆様とご一緒できるのを楽しみにしております。