ひらめきとイノベーションの授業
- 作者: 慎泰俊
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/03/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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私が好きなジョブズのスタンフォード大学での講演があります。「stay foolish, stay hungy」で有名なあの講演です。このスピーチを300回ぐらい聞いたときに、ジョブズが言わんとしていることが、徐々にわかってきました。私が考えるジョブズの本スピーチのエッセンスは「follow your heart」、すなわち、「自分に正直であれ」です。実際、このスピーチでは「connecting dots」「愛」「death」の三つの話が出てきますが、どの話にも「follow your heart」的なことが出てきます。
- You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever.
- As with all matters of the heart, you'll know when you find it.
- You are already naked. There is no reason not to follow your heart.
- Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice.
- And most important, have the courage to follow your heart and intuition.
こういったことを踏まえた上で、ジョブズが引用している「stay foolish, stay hungry」という言葉は、結局のところ「自分の正直であれ。世間からみて馬鹿に見えても、そのままで居続けろ、自分の心にどん欲であれ」と言っているのだと私は解釈しました。
「自分の心に正直である」ことなんて、シンプルで簡単だと思いますが、慎さんも指摘しているように、人は自分にさえも嘘をつくので厄介です。ジョブズはそのことを心の底から理解し、そして、一見シンプルな「自分の心に正直である」ことが今の世の中、実は最も難しく、このことがイノベーションを阻害している要因だということがわかっていたのではないかと思います。
私は今年の1月1日から毎日日記を書いています。別にfacebookやブログに公開するわけではありません。書く理由は、自分がその日その日に何を考えているかを整理するためです。言い換えれば、自分の心と対話をするためとも言えます。人に見せることを前提としていないため、へんに格好をつけたり、恥ずかしく感じることもありません。悩み事があっても、落ち着いて自分の考えていることを文章に落としてみると、不思議な物で、何が具体的に悩みなのかもわかってきて、同時に自分にとって本当に大切なものも見えてきます。こういった背景もあり、「自分の気持ちに正直になる」ことの重要性は非常に共感できました。
本書を通じて、思いに関してより 興味を持った方は、同じく慎さんが書かれた「正しい判断は、最初の3秒で決まる 投資プロフェッショナルが実践する直感力を磨く習慣 」をお勧めします。こちらのテーマは「直感」と「信念」です。本当に素晴らしい本で、一人でも多くの人に読んでもらいたいと思い、会社の人にも配りました。
イノベーションについての方法論はほぼ確立されています。後は、個々人の思いです。この点については、他力本願では間違いなく無理でしょう。自分の気持ちに正直になるためにも、強くお勧めする一冊です。